各授業科目の講義概要一覧
経済・経営数学
社会科学で必要となる数学について,大学院のレベルを維持することに努め、包括的に講義する。すなわち「集合論」ならびに「位相数学」の基礎を講述し、これらをもとに、現代の経済・経営系における数学利用の際の基本的な知識として「微分積分学」および「線形代数学」について講述する。また経済・経営に応用する数学ではあっても、応用の前にはまず、単なるツールではなく,数学そのものの知識、考え方を厳格に身に付けさせることが、大学院レベルとしては正しい数学の応用の上で重要なことである。そのため,「集合」、「線形空間」、「位相空間」の概念など、社会科学でも使われる、数学の基礎的概念について、厳密に講義することから始める。
ゲーム理論特論
非協力ゲーム理論を中心に、ナッシュ均衡の概念など主要な概念およびゲーム理論による応用分析例を講述する。具体的には非協力ゲームのナッシュ均衡の概念とそれが複数存在する場合のリファインメント(絞込み)の問題、多段階ゲームとサブゲームおよびサブゲーム完全均衡の概念、「囚人のジレンマ」の問題、無限回繰り返しゲームと「フォーク定理」などの理論的な内容の他、それらを用いた様々な応用分析例を紹介する。
ミクロ経済学特論Ⅰ
消費者の理論、生産者の理論、市場の理論(競争的市場における資源配分の最適性と「市場の失敗」)など完全競争市場を想定した基本的内容を講述する。
ミクロ経済学特論Ⅱ
不完全競争市場の理論(独占の理論、寡占の理論)、不完全情報の市場における諸問題(情報の非対称性から生じるモラルハザードと逆選抜、労働市場におけるシグナリングの理論など)について講述する。
マクロ経済学特論Ⅰ
IS-LM分析およびフィリップス曲線を中心とする、ケインズ経済学の内容を講述する。その際、日本のマクロ計量モデルやフィリップス曲線のシフトの発生なども紹介する。その後、マネタリズムやルーカス批判などマクロ経済学における期待の導入とそれに基づくケインズ経済学を基礎とする経済政策の有効性に対する批判などについても講述する。
マクロ経済学特論Ⅱ
近年のマクロ経済学研究の主要な内容である経済成長論の内容を講義する。具体的にはソロー・モデル、ラムゼー・モデル、世代重複モデル(Overlapping Generations Model)の他、ローマーによる内生的成長モデルなどを含む。
金融研究特論
わが国金融資本市場の発展過程を各市場参加者の立場から検討・分析し、間接金融、直接金融、資金調達、資金運用、金融商品の開発、構造・制度問題等を論述し、金融資本市場の機能・サービス強化と国際競争力育成、金融機関を中心とした市場参加者の競争力向上のための政策等を国際的観点から探求する。その上で、企業並びに投信・年金等を含む機関投資家の実践的視点に立ち、金融・資本に関する理論、制度、技術、政策面からの総合的アプローチを試みる。
国際金融研究特論
各国金融・資本・為替市場の発展過程と特異性を検証し、急激に進む市場のグローバル化と諸課題を金融機関、企業、機関投資家、家計等の市場参加者ならびに監督行政の視点で論述する。近年企業の行う海外直接投資、国際市場における資金調達と運用、機関投資家を中心とした海外ポートフォリオ・インベストメント等が急増しており、国際的資金移動、為替変動、海外資産の管理、GDPへの影響、国際収支、FTA、円の国際化、通貨融通協定、リスクマネージメント等に関する理論、制度、対策等を実践的な立場に立ち総合的に探求する。
経済政策特論Ⅰ
マクロ経済政策の手段とその有効性および効果について、財政政策を中心として解説する。その際、マクロ財政政策の効果について公債の中立命題(リカードの中立命題)など比較的最近のトピックを含みながら講述する予定である。また、財政政策に関連して税制のあり方(重量税かランプサム税であるか、など)とその経済厚生への影響などについても講述する。
経済史特論
日本における幕末から現在までの資本主義の発展を概観した上で,聴講学生の興味と関心に従い,対外関係,財政金融,産業組織,企業構造,労使関係,労働市場などの各論的テーマについて,国際比較を念頭に置いて文献研究,並びに可能であれば資料調査(フィールドワーク)を行う。
産業政策特論
明治における農業社会から産業社会への転換は、地租の改正、殖産興業路線の設定、近代産業の育成という形で進められたが、一方、半封建的な側面をとどめた日本農業は、近代産業の育成、産業構造の形成にも影響を及ぼし、産業への労働力の供給・調整の役割も果した。 次に、第一次大戦以後の重化学工業化、軍需産業の進展に伴う産業構造の変化、独占・寡占構造の拡大、産業政策の対応を論じ、更に、第二次大戦後の日本経済の復興と発展、それに果たした農地改革後の農業の役割を、マクロ経済学的に整理し論ずる。最近の産業政策は、環境に関わる部分が頓に増大した。究極の目標は社会的厚生の最大化、パレート最適の達成、市場の失敗の縮小、資源の適正配分であるが、厚生経済学、公共経済学、国民経済計算、投入産出分析の概念に基づく社会環境会計などの知識を援用しながら考察を進め、改めて現代の産業政策の性格付け、位置付けを考える。
経済開発研究特論
21世紀への展望の下で、東アジアの経済開発を中心に特論する。まず農業社会から産業社会への移行を、輸入代替、輸出指向、輸出代替のプロセスに沿って見ていく。テイクオフの政策的誘導、ODAなどの経済援助、外資の導入、技術移転、教育、労働移動、誘発投資、資本形成を考察する 「持続可能な成長」は、通常、環境との関連で言われるが、更に食糧の安全保障もその重要な前提となる。またこれからの途上国の経済発展にとって、二酸化炭素排出基準など環境規制が大きな制約となるが、その打開政策を考える。相互関係の深い農業・環境問題を併せて論ずる。 最後に、途上国相互間の国際分業・貿易関係、北東アジアと東南アジアの関係、ASEANなどの国際的組織の機能、図們江開発計画などの多国間協力、ODA大国、日本の役割、対応政策について論ずる。
国際経済学特論Ⅰ
本講義では国際貿易論について教授する。2国以上が貿易を行う状況においては各国で生産の特化が生じ得る。その際の貿易と生産特化のパターンの発生を理解することが本講義の目的である。そのため本講義では比較優位の理論など伝統的な国際貿易の理論を講述し、その後近年のクルーグマンによる貿易と生産の特化および不均等経済発展の可能性に関する議論について講述する。
国際経済学特論Ⅱ
本講義ではオープンマクロ経済学について教授する。IS-LM分析を拡張したマンデル・フレミングモデルについて説明し、固定為替レート制と変動為替レート制のもとでの金融政策と財政政策の効果について講述する。さらにドーンブッシュの為替レートのオーバーシュートの理論、ポートフォリオバランス理論など為替レート決定理論について講述する。
統計学特論
確率変数、推定および検定の考え方(ネイマン・ピアソンのパラダイム、検定力の概念など)、中心極限定理、正規分布とカイ二乗分布、F分布とt分布など、統計学的な諸概念について講述する。演習を積極的に導入する。
計量経済学特論
まず線形回帰モデルについて最小二乗推定量の性質ならびに誤差項が正規分布をする場合の係数についてのt検定ならびにF検定について簡潔に講述する。次に、線形回帰モデルの頑健性の検証(誤差項の系列相関および分散不均一性のテスト方法)および誤差項にそのような系列相関のある場合および不均一分散である場合の推定法について講述する。また併せて構造変化テスト(CHOWテストなど)について講述する。
応用統計分析特論
統計的回帰分析について講術する。内容としては単一方程式モデルとその主要な推定方法(最小2乗法)、連立方程式モデルとその主要な推定方法(2段階最小2乗法)およびその推定量の性質(一致性)、最尤法などについて紹介する。
時系列データ解析特論
金融データを扱う際の中心的手法である時系列分析の手法を重点的に講述する。具体的には
(1)定常時系列過程の自己回帰モデル(ARモデル)、移動平均モデル(MAモデル)、それらの性質および反転可能性、推定法、
(2)VARモデル、反応関数、
(3)スペクトラル分析
などである。講義は定常時系列過程についてのこれらの分析方法を中心に紹介するが④非定常時系列過程(和分過程)の概念と性質についても紹介する。
社会調査・社会データ解析特論
アンケート調査票の設計手法を講述する。講義では随時、実際の調査の実施例を紹介し、それらについて問題点や改善点などを討議・検討する。
まず、選択肢を作成する際の留意点、アンケートの長さの問題など、様々な留意すべき事柄を講述する。また対象者の選抜方法、サンプル数と調査の信頼性の関係など、調査を企画する際に留意するべき事柄についても説明を行う。
その後回収された調査票からデータを作成する手法と、データを解析するクロス集計分析の手法を講述する。集団間の平均や分散の違いなどを検定するための統計的な処理の手法についても述べる。
社会調査・社会データ解析実習
本科目は社会調査・社会データ解析特論の受講者を対象とし、特論の内容に沿った社会調査およびデータ分析の実習を行う。履修者はグループを作り実際にアンケート調査票を設計し社会調査を遂行した後、集めた調査票からデータの作成およびコンピュータへの入力を行い、それを統計パッケージ(SPSS)を用いて実際にクロス集計等の解析を行い、レポートを作成する。レポートはセミナーで報告をし、プレゼンテーションについてのトレーニングも行う。
OR・シミュレーション特論
社会現象の数量的意思決定を行う手順を講義する。電子計算機の出現により、これまでの理論的興味から計算可能性や現実性に問題の興味は移行している。従来のテーマである待ち行列、ゲーム理論、線形計画法をより現実的な関数、データを利用できる形式に変換することを強調して講義する。
OR・シミュレーション実習
本実習においては、講義OR・シミュレーション特論と連繋し、特に電子計算機の本格的利用により、より実践的なテーマに挑戦する。現実の企業活動等の場面において理論的・抽象的解ではなくシミュレーションによる数値解を求めることのできる能力を涵養するとともに、その重要性を認識することを目的とする。
制度財務会計特論
今日、企業経営の多角化・国際化及び急速なコーポレート・ガバナンスの進展、資金調達の多様化、ディリバティブ取引をはじめとした新しい取引の活発化、国際会計基準の制度等に見られる国際的調和化への対応等、ディスクロージャー制度や企業組織の再編成等を巡る環境は著しく変化してきている。 そのような現状を講述するとともに、合わせて連結財務諸表の制度やディスクロージャー制度、さらには税務会計論等も講述しながら、制度会計のあるべき規範について考察する。
経営組織設計学特論Ⅰ
企業制度のあり方を様々な観点から考察する。すなわち株主資本主義とステークホルダー資本主義との対比において、(1)経営目的(価値的な側面としての経営理念、事実的な側面としての経営目標)、経営戦略および企業行動、(2)役職昇進制度、資格昇進制度におけるインセンティブと貢献のバランス、(3)経営幹部の早期選抜方式と緩やかな選抜方式、(4)コーポレート・ガバナンス各モデルの有効性対比、(5)ストック・オプションなどの刺激的報酬制度の功罪、などの諸テーマについて、ケース・スタディも交えながら、それぞれの企業が置かれた、文化的、社会的、経済的コンテクストを加味して考察する。
経営管理特論
現代の企業を対象に、企業を組織体としてみる立場から、経営管理を企業組織のマネジメントとしてとらえ、企業が直面している組織や人間性にかかわる経営管理の課題をとりあげ検討していく。そこで、環境が激変する現代企業の環境適応や変革に向けての経営管理の課題の検討のために、組織-環境の面ではコンティンジェンシー理論以降の組織デザイン論、組織間関係(ネットワーク関係)論、組織の進化論などを通して組織の主体的な環境適応を把握するのに用いられているさまざまな分析枠組みを考察し、人間-組織の面では人間の意思決定を分析の基礎に、コミュニケーション、モティベーション、変革型リーダーシップといった人の主体的な行為や人の集合的な営みが生み出す企業文化のようなソフトな構造を考察する。あわせて、内容の理解を深めるために、企業の全般にわたる諸活動の事例(ケース)などを交えながら講述する。
ビジネスモデルデザイン研究特論
ビジネスモデルとは、企業の設立の目的とその遂行手段を明示的に示し、認識するものであり、企業活動の根幹を成すと同時にその理想型を示すものである。本講義ではそのようなビジネスモデルの作成の手法を、実際例(ケース)を中心としながら講述する。また受講者が関心を寄せる産業における架空企業を想定したビジネスモデル作成の体験も行う。なお、本講義はその性質上、集中講義形式で短期間に集中的に行う。
情報システム設計研究特論
企業のビジネスモデルに伴い、その企業活動と企業組織の円滑な機能を可能にするための情報システムの設計という課題が生じてくる。そのような情報処理システムの適切な設計例を、実際例(ケース)を中心としながら講述する。講義の性質上、受講者はビジネスモデルデザイン研究特論を受講していることを前提とする。
サプライチェーンマネジメント特論
ビジネスの世界でサプライチェーンマネジメントが叫ばれている。それは、グローバル化の進展、大競争時代の突入、更には規制緩和、情報通信技術の進展などによって、個々の企業の競争戦略では限界があり、サプライチェーンを通して高い価値の競争戦略が必要になっている。すなわち、企業を取り巻く競争的環境変化によって企業対企業の競争でなくサプライチェーン対サプライチェーンの競争の時代に入ったことだ。企業間で協働関係を築いて、物やサービスなどの供給の仕方で差別化する時代に入ったと認識する必要がある。ビジネスプロセス自体が競争の源泉であり、サプライチェーンにおけるビジネスプロセスの改革が、経営革新の重要な柱になったと言える。まさに、サプライチェーンマネジメントは企業における中心的な経営戦略になっている。このように、ビジネス世界ではサプライチェーンマネジメントは益々重要になってきている。そこで、本講ではサプライチェーンにおけるサプライマネジメント(ロジスティクス、調査など)とデマンドマネジメント(需要計画、マーケティング、流通など)を総合的に考察する。
経営史特論
日本における幕末から現在までの企業の発展過程を概観したうえで,聴講学生の興味と関心に従い,日本的生産方式,コーポレートガバナンス,企業金融,労使関係などの各論的テーマについて,国際比較を念頭に置いて文献研究,並びに可能であれば資料調査(フィールドワーク)を行う。
演習Ⅰ・Ⅱ
各教育研究分野における文献、特に外国語の論文などを講読して専門的素養をつけると共に、本分野の現状を把握し、新しい課題を見出すために役立てる。
(演習Ⅰ … 春学期、演習Ⅱ … 秋学期)
特別研究
各自の研究テーマに則して自ら調査等のデータ収集とその分析等、社会科学の方法を用いて研究することを修得させ、修士論文または課題研究レポート作成の指導を行う。